各曲論 独り言①

 久々に書き散らしたい気分になったので、書いてみようと思う。

 

 一応今は就活中の身で、内定はまだ貰えてないけれど、ある程度方向性とか内定をいただけそうな企業というのが見えてきている段階である。不安な戦いは依然続きそうだが、自分の将来が目に写りもせんというような悲惨さはない。

 

 ただ、自分の心の平静が保たたれているかといえば、そんなことはない。むしろ、ひどくなっているという気すらある。就活云々は実は意外と関係がない。

 大学にいられるのも高々数か月。あと数か月で社会に放り出される不安というより、今まで積み上げてきた人間関係がまた更地になってしまうことに対する寂しさが、就活していく中で強烈に認識させられる。

 思えば高校を卒業するとき、こういう寂しさをあまり感じなかった。九州から関東に出ると願っていたから別れは当然だと思っていたし、関係がそれでも半永続的に続くと感じていたのもあった。

 が、それは半強制的に同じ学び舎に集まる高校までのお話だと気づいた。コロナもあり(それがなくても)疎遠になる人間など数えきれない。何より、就職して忙しそうな先輩方を見たことや、曲がりなりにも主将としてコミュニティを作る側に回ったことで、自分の生活に直接利益があるわけではないコミュニティを維持することの難しさを肌で実感したことが、この手の侘しさを感じさせるのであろう。

 

 

 最近ハマっている歌手に小椋佳がいる。特に好きな曲が、「ただお前がいい」「愛について」の二曲である。随分と古い歌だが、中々に私の気持ちを抉ってくる良い詩だ。

 

『ただお前がいい』 作詞・作曲 小椋佳

 

ただお前がいい 

煩わしさに投げた小石の放物線の軌跡の上で 

通り過ぎてきた青春のかけらが飛び跳ねて見えた

その照り返しをその頬に映していたお前

また会う約束などすることもなく それじゃまたなと別れるときのお前がいい

 

ただお前がいい 

落とすものなど何にもないのに伝言板の左の端に

今日もまた一つ忘れ物したと誰にともなく書く

その繰り返しをその帰り道に笑うお前

また会う約束などすることもなく それじゃまたなと別れるときのお前がいい

 

その照り返しをその頬に映していたお前

また会う約束などすることもなく それじゃまたなと別れるときのお前がいい

 

 

『愛について』 作詞 藤村渉 作曲 小椋佳

 

音も立てずに愛する人から去っていく

青春の日の重たさを支えようとして あなたの頬を手のひらに包み込めば

心は見えない錘に傾いていく秤のようです

暮らしが押し流した憧れの深さだけあなたと

愛について愛について 語り合いたい

 

言葉もなしに愛する瞳を見つめ合う

二人のときの深さを測ろうと努めて あなたの指をそっとまさぐりたどれば 

心は留まれないまま行き戻りする振子のようです

暮らしが押し流した憧れの深さだけあなたと

愛について愛について 語り合いたい

 

暮らしが押し流した憧れの深さだけあなたと

愛について愛について 語り合いたい

 

 

 「ただお前がいい」は、大学一年の冬に聞き始めた歌だ。まあ、自分の中では初恋のときの心情を描写した歌だと解釈している。まあただ、小椋自身はこの詩にそういう心持を込めたわけではなく、良い男にあったときの気持ちをこの詩に込めたようだ。

時がたつにつれて、自分の中での「お前」の具体的対象は変化していく。ただ、いつ歌っても切ない。これからもそうだろう。そういう歌だと思う。

 

「愛について」は、大学三年の後期期末試験くらいの時期に知った曲だ。作詞は藤村渉と書いたが、彼は別の名を堤清二といい、セゾングループの会長でもあった。

小椋がとあるコンサートでこの曲を歌う前の喋りで、「何万人もの従業員を擁する企業の経営者が漏らす本音、その部分で付き合えてきたのは幸せだと思います」と紹介していた。我を抑えて特定の目的のために我武者羅に孤独に生きてきた人間が、ふっと人生を振り返ったときに浮かぶ想い、それがこの歌なのかなと思う。

まだ、人生を振り返れるほど年を取ってるわけじゃないけど、あっという間だった大学生活、コロナで4か月半横浜を空けたこと、ワンゲルで主将を一年間務め上げた忙しき日々、そうした日々の中で失った夢。そして、近い将来に訪れるだろう「22歳の別れ」。そういう局面を経験するにつれ、この曲は重くのしかかってくるだろうという気がしている。

 

両者を歌っているライブ動画のリンクを貼っておこう。「ただお前がいい」は27:40ごろから、「愛について」は18:25ごろから。

 

https://youtu.be/3KOcC7FZwHw

 

 

まあ、しばらくこんな調子で、旅などは一切関係ないことを綴っていこうと思う。無駄に字数を食ってしまうので、ブログの方が都合が良い。

今日はこんなところで